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不定期こーしん☆

2023/05/27

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蕎麦屋さんでクリームあんみつを食べた クリームあんみつというものの言葉の響きがとても甘美で 学校帰りの寄り道の口実はロッテリアよりもクリームあんみつ 通学路に甘味処なんてひとつもなかったのに

とても姿勢の良いお爺さんがピアノを弾いていた クリームあんみつを待つあいだ、食べるあいだ 見渡すと椅子や机や棚や引き戸がすべて木製で 引き戸のガラスはよく磨かれていて、ガラスというより薄い氷が張っているみたいだった 家具などは年季が入っているけれど、それ以上に丁寧に手入れがされているんだなという印象があり 久しぶりに田舎の爺ちゃんの家に遊びにきたみたいだ 

子供のころの美しい記憶がよみがえるような気がして、でもその記憶全然存在しないよ 嘘つきになれるなら、ひとつの話に100個くらい嘘を混ぜてオートフィクションにしてしまおう 私は本当のことは何も言わずに美しいことだけを話そう

完璧な嘘は素晴らしい小説 生身の人間はあまりにも泥臭い 物語の登場人物は結末が用意されているのでずるい 映画はいちばんいいところで終わるし、エンドロールまで観た後も私の人生はどうしようもなく続いていくから映画はずるい 一抜けた

紐をほどいて、からまって それこうやって結ぶんだよってやって見せてくれてどうもありがとう 投げたボール拾ってくれて 国語の教科書貸してくれて 全部同じことの繰り返し、意識に組み込まれたただの挨拶?違うね 全員わざとやってるよ ボールは体育館から持ち出しちゃいけないバスケットボールで、国語の教科書は苺色だった 抽象は美しいけどそれはもうそれとしてしか存在できない でも生身の人間は時間に鋏を入れられる 物語の登場人物はその登場人物としてしか生きられないから、生身の人間が勝ち ごめんね もう私、行かなくちゃ